銀座一丁目二丁目の辺り
フィールズ賞とプリッカー賞は当たり前だけど違う賞である。その当たり前のことを間違う。俺も早くもボケが始まったか。昨日のブログ記事で槙文彦氏がフィールズ賞受賞者だと書いてしまった(もう直してあるよぉ)。プリッカー賞の間違いである。フィールズ賞は数学の賞。プリッカー賞は建築の賞である。ともにそれぞれの分野では世界最高の賞ということになっている。プリッカー賞の日本人受賞者は確かこれまでで3人のはずだ。丹下健三、槙文彦、安藤忠雄の3人である。この賞の歴史の浅さを考えると、3人は結構多い。日本人建築家が案外と世界的に認められていることの証明となる。だけど、国内では建築家ってのはかなり誤解された存在だ。それは建築家の側にも責任がある・・と俺は常々思っているよ。
昨日は土曜休暇の日にもかかわらず仕事に出た。会社に着く前に銀座一丁目、二丁目辺りを歩いた。そうしたら、銀座は裏通りに昔の銀座の面影をとどめていたよ。
奥野ビルは今は画廊がたくさん入っている(その他は税理士事務所とか)が、元はアパートである。ちょっと前に朝日新聞に取り上げられていた。昭和7年の建設だが、いまだに現役である。しかも入居は空き室待ちの状態だという。
設計は川元良一だと言われている。川元良一は同潤会の初期のアパートを手がけた建築家として知られている。その人が独立してから設計したのが銀座アパートメントでつまりこのビルである。建物の中央にスリットがあるのは、二期に渡って建てられたもので、
写真の向かって左が第一期、それに増築する形で向かって右の半分が足された。スリットはその結合の痕跡である。今は、小さなベランダに置かれた鉢植えが育ち、ビル全体に迷宮の感を与えている。
だがこの建物、俺にはあまり良いデザインに思えない。むしろ凡庸である。ただこの頃の建物が持つ時間による熟成の味が人々を惹きつけるようだ。作詞家の西條八十もその昔このアパートに住んでいたらしい。「昔恋しい銀座の柳~」という歌詞で有名な東京行進曲を作詞した人だ。そういう意味では由緒正しい銀座の記憶を宿す建物である。
奥野ビルのすぐ近く、銀座二丁目になるが、ヨネイビルディングはある。昨日初めて見た建物で、ぱっと見、判断に迷った。昭和初期のものか戦後のものか。戦前のものにしては基壇部から上のデザインがあっさりしすぎている。しかし基壇部は十分に念入りのデザインである。三層構成のデザインだと思われるのだが、最上層は何の変哲もなく終わっている。家に帰って調べてみたら、やはり中層から上は改修されていた。元は中層から上が総タイル張り(おそらくスクラッチタイル)で、最上層もしっかりと存在していた。建築年は昭和5年。設計者は森山松之助、辰野金吾の弟子である。森山松之助は台湾総督府を設計した人である。俺はロマネスク調のデザインには結構弱い人なので、この建物は奥野ビルより気に入った。1階に有名な洋菓子屋の菓子レストランが入っている。今度は中を見てみたいと思う。でも一人じゃ恥ずかしいな。
銀座一丁目角、中央通りに面して読売広告社本社ビルがある。設計は日本設計で、それも日本設計のエースデザイナー、淺石優の手になるものと記憶する。ヨネイビルには近く、1階のアーチはひょっとしてヨネイビルを意識したものだろうか。これがなければ美しくともただのガラスの箱。その意味では効いている。
淺石さんは日本設計の顔だけど、あまり組織で偉くなるタイプの人ではないらしい。まだ日本設計にいるのかな?
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コメント
はじめまして、私もこのアパート(奥野ビル)を訪問して、
「おおぉ!!」と思った人間の一人です。
ブログをアップしておりますので、
もしお時間ございましたら、
ご笑覧いただければ幸いです。
http://www.samsul.com/2006/09/09/post_203.php
投稿 サムスル渡邉裕晃 | 2007年3月 8日 (木) 13:52