ぜんざい/沖縄
那覇市は首里の方にある沖縄そばの店に連れて行ってくれる人がいた。8月の最初の頃である。「しむじょう」というその店は地元では知る人ぞ知る店らしい。しかしそこへ着くには、細い道を山に向かってくねくねと上らなくてはならない。観光客でここに来る人は少ないようである。
沖縄のそばを始めて食ったのは建設現場の食堂であって、最初はあまり美味いと思わなかった。中華そばとウドンを足して二で割った感じでね。出汁も超薄味。中華そばをウドン出汁で食っていると言えば近いかな。現場の食堂のは、建設現場だというのに調味料を節約しているのか、お湯に近い味だったね。だが後に、おいしい店に連れて行ってもらったのをきっかけに好きになった。今回の「しむじょう」の店も美味しかったよ。でも食後に庭に出て食べた「ぜんざい」のことを書いておこう。感動。
沖縄のぜんざいは熱くない。温かいそばを食った後、庭に出て東屋の屋根の下に入ると、そこには沖縄の夏の風が吹いていた。 東京よりはよっぽど気持ち良い。そこに出てきたのがこれ。氷アズキじゃん・・・て。この写真は少し食べたあとのもの。最初は氷が全面にかぶっていて真っ白なの。そこをスプーンでほじくると、下に金時アンと餅が現れる。その色の取り合わせが美しい。沖縄というと金とか朱色とか、あざやかな色合いのイメージがあるのだけれど、このぜんざいは最初白色で出てくるの。ただのみぞれ・・って感じ。白無垢の純真な奴が恥じらいながら出てきたと思って、そこを情け容赦なくスプーンでほじくると、中から金時豆のアンと餅という老練なコンビが出てくる。しかもその純真な奴と老練なコンビが力を併せて味覚を攻めてくる。おのれ謀ったか・・と気が付いた時は、スプーンがとまらぬ。久々に甘いものに感動した。
せっかくだから「しむじょう」の建物についても少し書いておく。この建物は首里にある民家を利用して店にしたもの。沖縄の典型的、とは言ってもかなり上流階級の家の形を見られる。
アプローチはこの通り。正面にヒンプン(屏風)がある。邪鬼はまっすぐにしか入って来れないため、これで遮る・・・ということなのだが、建築計画的にも効果が出ている。アプローチに奥行きをもたらしている。屋敷に向かって入って行くとヒンプンにあたる。そこで右に折れ、まずは庭に出ることになる。この家ではそこから左に少し上ると家の玄関に至る。視界がさほど長くない距離の間に次々と変わって行く。これは京都の禅寺などでも似たような手法が見られる。
家の周りは日本の本土と違って、白い砂が敷かれている。草木を生やさない。ここに本土の文化との違いを見ることができる。
白い砂に反射した光が室内を明るくするという効果も狙ったのだろう。しかしその他におそらく、草木を生やしたならそれは制御不能のものとなり、あっという間にジャングル化するという南国の事情もあったと思う。 ハブのような危険な動物もいる。草がぼうぼうでは蛇が潜んでいても分からない事になり、危険だったであろう。
沖縄では自然は本土のように優しくない。沖縄が自然豊富で、人々は自然を友として生きている・・・というのはちょっと単純に過ぎる見方だと気づかされた。
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