東京中央郵便局について追記
少し前に、保存が取りざたされている東京中央郵便局の建物について書いたが、その後、朝日新聞に少し詳しい記事が出ていたので、それについて記録しておく。
記事が出ていたのは11月27日の朝日新聞朝刊である。「名建築・東京中央郵便局舎に超高層化の危機」と題されている。
この建物の保存云々のことが話題になったのは、この建物を壊し、高さ200メートル、床面積約19万平方メートルの超高層ビルを建設しようという計画が、日本郵政から発表されたことに端を発しているようだ。そして日本郵政は郵政民営化で誕生した会社であり、つまり名建築・東京中央郵便局舎の危機は、小泉改革の波によって迎えた危機だということになる。だが、朝日の記事によれば、この新ビル建設には870億円の資金が必要とされており、その資金の多くは借金で賄うという、かなりリスクの高い事業らしい。だから、自ら巨大ビルを建てるより既存の建物を保存し、空中権つまり余剰の容積率(その土地で法的に建てられる建物の床面積の余り)を他の近隣ビル建設に転売すれば、日本郵政自身はリスクを負わず、確実に収益を得られる・・・というのが朝日の記事の論調である。
日本郵政は民営化後、不動産ビジネスに意欲満々で、三井不動産と三菱地所から人材を迎えたということだ。東京駅周辺では幾つかの新しい高層ビルがここ10年の間に次々と建っている。最近できた新丸ビルでは家賃が坪あたり5万~6万円とも聞く。この家賃相場が本当であり、今後もこの家賃相場で推移するなら、借金してもビルを建てることは経済原則にかなっている。加えて、東京駅周辺では既に丸ビルや新丸ビルなど次々に建物が建てられ、日本郵政が空中権を転売しようにも、それを買ってくれる適当なビル建設計画が中央郵便局舎の敷地周辺にはもはや残っていないのではないか?・・と思える。このビジネスが本当に危険なのか、あるいは金の卵を産む鶏であるのかは、この新聞記事から簡単に読み取れない。
この朝日の記事からもう一つ知ったのは、吉田鉄郎設計のこの東京中央郵便局舎を褒めたとされるブルーノ・タウトの言葉だ。「明朗で純日本的」「西洋の有名な建築の後塵を拝している点はいささかもない」と評したとされる。おそらく、当時の日本の建築の中では、非常に清新な雰囲気を持った建物であったのだろう。そのことは現在この建物を実際に見ても感じられることである。だが、西洋の有名建築の後塵を拝していないまでも、先頭集団に入っているとも思えない・・・という俺の評価は変わらない。ようやく、日本の現代建築がこういうモダニズムの表現を破綻なくこなせるようになった・・ということを、タウトは評価したのではないだろうか。
建物に対する評価とは別に、俺自身はこの東京中央郵便局舎は保存した方が良いと思う。だが、その一番の理由は、ここに超高層ビルが建つことによって、東京駅の景観が損なわれるということである。単体の建物の保存問題として論ずるのではなく、東京駅周辺の景観がどうあるべきか・・・という議論があってしかるべきなのではないか。そういう議論が聞こえてこないのはどういうわけなんだろう?
以上、朝日新聞の記事を読んで考えたことをダラダラと書いた。
ここのところ、またひどく忙しいのだ。年末だからね、いつものことである。こういう時は、慌てず、一つ一つ着実に片付けていくのが良い。焦ってはいけない。平常心これ道なり。朝にはこのように思う。しかし夕方には何も片付いていないのに気が付く。いやいや、片付いていないのは俺の段取りが悪いからである。明日には体勢を立て直し、ふたたび平常心を取り戻すであろう。そうして一週間は瞬く間に過ぎ、やはり何も片付いていない。これは俺が時間を使うことにまだまだ未熟だからだ。週末の深い反省の基、来週には一つ一つ片付けるであろう・・・。あぁ、そうして年末が過ぎていく。
| 固定リンク
「建築」カテゴリの記事
- 50 Years After 1960/巨大高密度都市は誤りか?(2008.06.28)
- 神の降臨/2008年西新宿(2008.06.22)
- 50 Years After 1960/それで?(2008.06.15)
- 50 Years After 1960/丹下の再評価(2008.05.25)
- 50 Years After 1960/八束はじめの立ち位置(2008.05.18)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 我が身体(2008.05.10)
- 吉田鉄郎の建築(2007.11.18)
- 桜咲く頃のこと(2008.04.12)
- 雪の日/オヤジの気持ち(2008.02.03)
- 2008年3月16日/京都より戻る(2008.03.16)
「景観」カテゴリの記事
- 神の降臨/2008年西新宿(2008.06.22)
- 吉田鉄郎の建築(2007.11.18)
- 桜咲く頃のこと(2008.04.12)
- 麗しのキャンパス?/同志社(2008.03.30)
- 同志社大学今出川キャンパス(2008.03.23)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/156497/17311081
この記事へのトラックバック一覧です: 東京中央郵便局について追記:




コメント
私も最近ブログ始めました。よろしくお願いします。
投稿 ずーさん | 2007年12月 8日 (土) 20:02