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2008年4月19日 (土)

彩の国さいたま芸術劇場の印象

香山壽夫はルイス・カーンに師事した日本人建築家として知られ、また東京大学建築学科教授を務めたという、まずは日本の代表的建築家の一人ということだろう。そういう偉い建築家の作品に「彩の国さいたま芸術劇場」というのがある。もう十数年前に竣工した建物でそう新しいわけではないが、日本建築学会賞、村野藤吾賞、BCS賞などという、どの一つもらっても大変な名誉という建築の賞をいくつも受賞しており、香山先生の代表作と言ってよい。そういうことで前から一度見てみたいと思っていた。自転車で遠出したついでに、やっとのことで目にすることができた。

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正直、突然現れた灰色の塊に驚いた。最初はこれが劇場だと認識できず、何かの工場、多分セメント工場かなにか・・と思った。これは設計者が悪いのか、建っている場所が悪いのか。残念です、香山先生。俺的にはまったく×建築です。東京大学の弥生講堂なんかは同じ先生の作品でもなかなか良いのにね。これはどうもいただけません。ま、とにかくこれは裏側ですから大目に見て、表に回りましょ、表に。表はきっともっと良いはず。なんたって建築学会賞受賞作ですから。

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ガチョーン(谷啓のギャグ。古っ) これですかい。

最近地方へ行くとよく見る「道の駅」を思い出した。

どうしてこう色がくすんでいるんだろう。先生、色の感覚はあまり良くないようですな。それともこういう地味な色使いがカッコイィーという時代だったのか。いずれにせよ、この場所、この晴れた空の下、こういう不機嫌な建物が芸術劇場であるということ。それはやっぱりいただけない。

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壁のクラックが気になった。こうあちこちにクラックが入っているのは、もちろんコンクリートの性能として問題ある。早く補修をかけたほうが良い。中の鉄筋が錆びるぞ。デザイン優先で有効なクラック防止対策がとられていない。東大の建築の先生がこんなことで良いのだろうか?しかも建築学会賞やBCS賞まで与えられている。どういうことなんだろう?これが、この年、日本で建てられた建物の最高峰だとっ!!

実は、実際に見るまでは期待してたんだ。本当だよ。最初から悪口を言うつもりなんかなかった。でもあんまりだよ。これが俺の好きなルイス・カーンの弟子の仕事?

カリフォルニアにあるルイス・カーンの設計した「ソーク研究所」を初めて見たときの感動。コンクリートのマッシブな形態が俺を圧倒した。カリフォルニアの青い海と空、岸壁の上に建つ建物の放つ宇宙的な存在感。涙が出そうだったよ。

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テラゾーの笠石がこんなに反り返るとは・・・。下地のモルタルも引っ張られたせいか完璧に浮いている。ひどい。施工も良くないのだろう。しかし、このテラゾーの品質がまず良くない。またそれをこの部位に使うべきでなかったのだろう。いずれにせよ、これが何故建築業協会の賞であるBCS賞を受賞しているのだろうか。まことに不思議。要するに、審査なんていい加減だということである。

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平面のレリーフが飾ってあった。ふーん、やはり平面はルイス・カーンの弟子らしく、単純な幾何学形態のきれいな構成だな。中央広場の取り方も納得できる。しかしこれが三次元で出来上がったときに、何故かくもしょぼい空間になるのか。

建築において平面は大事である。しかし、平面だけでは読みきれないことも多いようだ。とにかく今年見た建物の中で、がっかり度は一番でした。

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2008年4月12日 (土)

桜咲く頃のこと

メタボ検診なるものが始まるらしい。まことにおせっかいなことである。ウェストサイズ85センチ以上が成人病予備軍だとして、あれこれと指導を受けさせられるらしい。昨年、大学建築学科の同窓の輩がたて続けに2人亡くなった。まだ50代半ばである。2人とも俺よりはよほど痩せていたが、命の炎は早く燃え尽きてしまった。どうもウェストサイズ85センチなどというのが健康のバロメーターだというのが納得いかない。これを超える男性が病気になり易いなどというのが統計的に証明されているのだろうか。反対を唱える医師もいるということではないか。・・・などと言っても、犬の遠吠えである。

健康の為に、休みの日は自転車で遠出することにした。そのために自転車も買い換えた。そんなに高級なやつではないが、一応21段変速のギアがついている。風を切って走る感覚が快適で、これに乗って休日に走るのは楽しくないこともない。先週の日曜は天気もよく、朝から大宮の方へ出かけた。

200801しばらく走ると田畑もある。桜は盛りを少し過ぎているが、まだまだ見ごろである。この小川は用水路か?水面に映る桜がずっと向うに続く。かみそり護岸はいただけないな。その上の青く塗られた金網フェンスはなおいけない。転落防止のために・・というのは分かる。でもこういう方法しかないのだろうか。見慣れてしまえばどうということはない・・・か。安っぽい解決策に走る国民性が悲しい。

だが桜は美しい。この辺りは初めて来た場所だ。真っ直ぐな用水路、その水面に映る青い空と桜の並木。この季節、この花は醜い日本をそれでも慈しむがごとくに咲いてくれる。

 ゆくりなき 郷の桜を 訪ねけり

生まれ故郷の京都を離れ、関東に住まうようになっていつの間にか四半世紀。子供達はこちらで育ち、上の子は成人を迎えた。今でも俺にとっては京都が故郷だけれど、あと10年もこちらで暮らしたら、ことさら京都へ帰る気持ちは失せるかもしれないな。それも自然の成り行きだが。

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川の土手に咲く桜。実は、こういう景色は俺にとって日本の原風景で、だからこれは「俺が久々に見た日本の景色」という感じなのである。うららかな日差しの下、土手の桜はただ咲き、ただ散り行く。これを思うときの不思議な安らかさはどうだ。

 一山の 花を飾りし 小川かな

日本人はあちこちで日本の国土を雑然とした風景に作り変えてきたが、どういうわけかその代償行為として桜を植えてきたように思える。それで、こうして休みの日にちょっと自転車で遠出すると、有名では無いけれども十分美しい桜の花に出会えるのである。こういう田園風景の中の桜を愛でながら、ゆっくりとペダルを漕いでいると、「ああ、日本人でよかったな・・」と思えて来るので、俺も相当に単純な人間である。

200803

土手に上がり、桜並木にそって進む。これだけの見事な桜だというのに、それほど人に出会わない。日曜日の朝まだ早いからか?でもいいなぁ。贅沢だなぁ。金も使わずにこういう気分を味わえる。休みの日といえど早起きしてみるものである。

 陽の在り処 土手の上なる 桜木の下

メタボ検診、俺の場合かなりきわどい。

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