彩の国さいたま芸術劇場の印象
香山壽夫はルイス・カーンに師事した日本人建築家として知られ、また東京大学建築学科教授を務めたという、まずは日本の代表的建築家の一人ということだろう。そういう偉い建築家の作品に「彩の国さいたま芸術劇場」というのがある。もう十数年前に竣工した建物でそう新しいわけではないが、日本建築学会賞、村野藤吾賞、BCS賞などという、どの一つもらっても大変な名誉という建築の賞をいくつも受賞しており、香山先生の代表作と言ってよい。そういうことで前から一度見てみたいと思っていた。自転車で遠出したついでに、やっとのことで目にすることができた。
正直、突然現れた灰色の塊に驚いた。最初はこれが劇場だと認識できず、何かの工場、多分セメント工場かなにか・・と思った。これは設計者が悪いのか、建っている場所が悪いのか。残念です、香山先生。俺的にはまったく×建築です。東京大学の弥生講堂なんかは同じ先生の作品でもなかなか良いのにね。これはどうもいただけません。ま、とにかくこれは裏側ですから大目に見て、表に回りましょ、表に。表はきっともっと良いはず。なんたって建築学会賞受賞作ですから。
ガチョーン(谷啓のギャグ。古っ) これですかい。
最近地方へ行くとよく見る「道の駅」を思い出した。
どうしてこう色がくすんでいるんだろう。先生、色の感覚はあまり良くないようですな。それともこういう地味な色使いがカッコイィーという時代だったのか。いずれにせよ、この場所、この晴れた空の下、こういう不機嫌な建物が芸術劇場であるということ。それはやっぱりいただけない。
壁のクラックが気になった。こうあちこちにクラックが入っているのは、もちろんコンクリートの性能として問題ある。早く補修をかけたほうが良い。中の鉄筋が錆びるぞ。デザイン優先で有効なクラック防止対策がとられていない。東大の建築の先生がこんなことで良いのだろうか?しかも建築学会賞やBCS賞まで与えられている。どういうことなんだろう?これが、この年、日本で建てられた建物の最高峰だとっ!!
実は、実際に見るまでは期待してたんだ。本当だよ。最初から悪口を言うつもりなんかなかった。でもあんまりだよ。これが俺の好きなルイス・カーンの弟子の仕事?
カリフォルニアにあるルイス・カーンの設計した「ソーク研究所」を初めて見たときの感動。コンクリートのマッシブな形態が俺を圧倒した。カリフォルニアの青い海と空、岸壁の上に建つ建物の放つ宇宙的な存在感。涙が出そうだったよ。
テラゾーの笠石がこんなに反り返るとは・・・。下地のモルタルも引っ張られたせいか完璧に浮いている。ひどい。施工も良くないのだろう。しかし、このテラゾーの品質がまず良くない。またそれをこの部位に使うべきでなかったのだろう。いずれにせよ、これが何故建築業協会の賞であるBCS賞を受賞しているのだろうか。まことに不思議。要するに、審査なんていい加減だということである。
平面のレリーフが飾ってあった。ふーん、やはり平面はルイス・カーンの弟子らしく、単純な幾何学形態のきれいな構成だな。中央広場の取り方も納得できる。しかしこれが三次元で出来上がったときに、何故かくもしょぼい空間になるのか。
建築において平面は大事である。しかし、平面だけでは読みきれないことも多いようだ。とにかく今年見た建物の中で、がっかり度は一番でした。
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